王太子様の策略に、まんまと嵌められまして~一夜の過ち、一生の縁~
「アマンダからもここへ来ることを快諾して自ら来て頂いていますから、心配しなくて大丈夫です。ですね?アマンダ」
「ええ。まさか王太子様と同じ屋根の下で暮らすのに、ビアンカ様ひとりでは、なにか失礼なことを仕出かさないかと、不安で夜も眠られませんから。ビアンカ様の世話と教育はお任せくださいませ、私が責任を持ってしっかりと行いたいと思います」
アマンダは胸元を拳でどん、と叩き、自信満々に宣言する。
……って、教育って!?
「その言葉、とても心強い。ではよろしく頼みましたよ、アマンダ」
ファリス様は満足そうな表情を浮かべ、部屋を出ていく。
いなくなって途端にホッとしたのか、身体から力が抜けたようにずん、と重くなった。
しかし私の頭の中は依然混乱状態。
……この状況は、いったいどういうことなのだろう。
アマンダもまた、ファリス様が部屋を出ていき扉が閉められると、ふう、と大きく息を吐いた。
どうやらアマンダも緊張していたようだ。
「アマンダ……」
「私、王太子様のことを甘く見くびっていたようでした。これほどまでにすぐ分かられてしまうとは思っていませんでした」
「これから私、どうなってしまうのかしら」
「どうなるもなにも……。次期王妃ですよ、ビアンカ様」