王太子様の策略に、まんまと嵌められまして~一夜の過ち、一生の縁~
***

「……で、ですね。開こうかと思うのですが」

「え?なんですか?」

「私たちのお披露目のパーティーです。来週には父と母も帰って来ますし、いい頃合いかと思いまして」

はあ、と気の抜けたような返事をする。

それは昼食が終わり、自室で食後のお茶を楽しんでいるときだった。

唐突に言われたものだから、いまいち話の内容を掴めていなかったからゆえの生返事だったわけだけれど、ごくりとひとくちお茶を飲んで、ハッと気づく。

ん?それって。


「ふたりで出席するのですか?」

「ええもちろん当たり前でしょう。私とビアンカのためのパーティーですよ?」


ううむ。

それはつまり。




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