王太子様の策略に、まんまと嵌められまして~一夜の過ち、一生の縁~
王妃様は優しく微笑むと、私の手を取ってついてくるようにと促す。
戸惑いつつも、それを拒むことができず素直に従うしかない。
王妃様は私を連れて、ある部屋へと入った。
その部屋は、他の部屋とは違い白を基調としている。
すべて特注で作らせたであろうテーブルやソファー。
細かな部分まで装飾されており、とても美しい。
それだけでもこの部屋は、特別なものであると分かる。
「ここは私の部屋なの。ごめんなさいね、白ばかりで目が疲れるでしょう?」
「い、いえ!そんなことは……!私が入ってもよろしいのですか?」
「全然!私のお友達もよくこの部屋に来てお喋りしたりしてるのよ。だから気にしなくても大丈夫。さあ、座って。今お茶を入れるわ」
王妃様は侍女を呼び、お茶を持ってくるようにと伝えた。
私は言われた通り、ソファーに腰掛ける。
王妃様は長旅の疲れからなのか、少し身体を上に伸ばす仕草をした後、私の座る向かいのソファーに腰掛けた。
"王妃様"なだけあって、気難しいお方かと想像しがちだが、フィオナ王妃様は違っていた。
とても気さくで、それでいてほわっとした柔らかなオーラを纏っている。
本来ならば気持ちも身体も硬直するのだろうが、自然とそのオーラに癒されてしまった。