王太子様の策略に、まんまと嵌められまして~一夜の過ち、一生の縁~
王妃様の言葉に驚きのあまり、口が半開きになってしまった。
「突然声をかけられたものだから、そのときは慌ててその場から逃げてしまったのだけど、そのあと城に連れて来られたのよね。伯爵家とはいえ、私の家は貧乏だったから、貴族の身分を隠して街のカフェで働いていたくらいだったのよ。だから夜会の料理がごちそうだったの」
「まさか王妃様にそんな過去が……。それよりも出会いが同じだなんて」
「ね。だからとてもおかしくて!なにかの運命なのか、ただ単にあのふたりが似ていただけなのか、それは分からないけど」
アマンダの話で、出会いが似ているというのは聞いていたが、まさかそこまで同じだとは思わなかった。
こんな偶然あるのだろうか。
出来過ぎた話のようで、逆に恐ろしく感じるくらいだ。
「でも、これであなたとはうまくやれるって確信が持てたわ。大丈夫よビアンカちゃん。たしかに王族の人間になるのに不安はあるわよね?……私もそうだった。けれど、ちゃんとファリスが支えてくれるわ。私もだいぶ夫に支えられここまで来ることができたもの。あなたはひとりじゃない、助けてくれる人間がたくさんいるから安心して」
王妃様は優しく私を見つめる。
……まるで聖母のように。
その瞳に見つめられると、今まで抱えていた不安が不思議と消えていくように、心の中はほわりと温かく、穏やかな気持ちになれた。
「突然声をかけられたものだから、そのときは慌ててその場から逃げてしまったのだけど、そのあと城に連れて来られたのよね。伯爵家とはいえ、私の家は貧乏だったから、貴族の身分を隠して街のカフェで働いていたくらいだったのよ。だから夜会の料理がごちそうだったの」
「まさか王妃様にそんな過去が……。それよりも出会いが同じだなんて」
「ね。だからとてもおかしくて!なにかの運命なのか、ただ単にあのふたりが似ていただけなのか、それは分からないけど」
アマンダの話で、出会いが似ているというのは聞いていたが、まさかそこまで同じだとは思わなかった。
こんな偶然あるのだろうか。
出来過ぎた話のようで、逆に恐ろしく感じるくらいだ。
「でも、これであなたとはうまくやれるって確信が持てたわ。大丈夫よビアンカちゃん。たしかに王族の人間になるのに不安はあるわよね?……私もそうだった。けれど、ちゃんとファリスが支えてくれるわ。私もだいぶ夫に支えられここまで来ることができたもの。あなたはひとりじゃない、助けてくれる人間がたくさんいるから安心して」
王妃様は優しく私を見つめる。
……まるで聖母のように。
その瞳に見つめられると、今まで抱えていた不安が不思議と消えていくように、心の中はほわりと温かく、穏やかな気持ちになれた。