王太子様の策略に、まんまと嵌められまして~一夜の過ち、一生の縁~
信じがたく、再度確認を込めて聞き直す。
「本当に、その、い、致してないのですか?」
「ええ。その証拠にあなたの身体にはなんの痕跡もなかったはず。痕も痛みもまったくないはずですが」
「あ……」
言われれば確かにそうだ。
あのとき、そんなことすら考えられないほどに慌てていたから。
至って普通の、なんてことない身体だった。
つまり私は、まだ……。
あまりの恥ずかしさとやってしまったという後悔と、色々な感情から頭を抱える。
なんてことだ。
これではまだファリス様と身体の関係を持ってしまったほうがマシだったじゃない!
……いや、どれもこれもひどい話。
よりによってファリス様の前で、脱ぎだすなんてそんな話、前代未聞よ!
「ああっ!!私っ、私なんて失礼な行為をっ……!。もう恥ずかしくてお嫁に行けません!」
「うん?大丈夫、私が貰うんですから、心配しなくていいですよ」
「いえでも、そんな無礼な行為をする下衆な女っ!」
「だからこそ、そんなビアンカに惹かれたんですよ。気持ちよさげに眠るあなたの隣で、とても幸せな時間を過ごしたのです。これからも私の隣にビアンカがいたらどれだけの幸福を味わえるのだろうと、そのときずっと考えていました」
今にも泣きそうな私とは違い、ファリス様はニコニコと嬉しそうに私を見つめていた。