獣は少女を愛し、少女は獣を愛した
「今聞いてみる。
おーい、ミユ!」
名前を呼ぶと、ミユはゆっくりと振り返り
「グラン、お話は終わった?」
と言う。
「あぁ」
僕はそう言ってミユのそばに行き、
「ミユの目が治るかもしれない」
そう言った。
「え?本当?」
ミユは僕の言葉を聞いて驚く。
そりゃそうだ。治るなんて思ってもいなかったから。
「あぁ、治したいだろう?
だから、治せるように僕はしばらくここから離れるけど、いいよな?」
「えっ、」
「治すためのものを探しに行くんだ。
大体ひと月くらい。
その間はユラがミユのそばにいてやれる。」
「そう...」
それを言ったミユの表情はやけに暗かった。
「明日には、探しに行くよ」
「...わかった。
気をつけてね」
僕に笑顔でそう返すミユ。
「うん」
なるべく、早く帰りたい。