獣は少女を愛し、少女は獣を愛した
3
「やっとだ...」
視覚石を見つけることが出来たのは、あれからふた月後だった。
ミユは、元気に過ごせているだろうか。
ユラに言われた場所には、もう無かった。
そこにいた人にどこにあるかを聞いて、やっとの事で探し出したのだ。
人々の手を転々としているから、なかなか見つけられなかった。
半獣姿を見られて石を投げつけられたりもした。
そこまでして探したのはミユの為だからだ。
自分の為だったらそこまでしていない。
思っていたよりも時間がかかってしまったので、竜の姿になって飛んで帰った。
「ミユ!」
ミユの姿を見つけて思わず名前を呼ぶ。
僕の声に気づいたのか僕の方を見ようとミユはキョロキョロする。
「グラン...グラン、どこ!?グラン、どこにいるの?
グラン、グラン...」
「ミユ落ち着いて。僕はここにいるよ。」
「グラン!!」
ミユは僕の名前を叫んで泣き出した。
「ミユ、どうした?」
ミユを抱きしめながらそう聞く。
「グラン...ひと月って言ったじゃない...。どうしてこんなに遅いの......
また、捨てられちゃったかと思った...。」
ミユの言葉にドキリとする。ミユを助けようとして、傷つけてしまった...。
見た目の年齢よりもずっと大人なミユに頼りすぎていた。少女は、まだ少女なのだ。改めてそれを思い知らされた。
「ごめんね、ミユ
絶対に捨てるなんてことはしないから、安心して」
「本当に、安心してもいい?」
心配そうな顔をして聞くミユの顔を見て、僕の心臓はギュッと詰まる。
「もちろんさ」
自信を持って、僕はそう答えた。
君が死ぬまで、僕は傍にいるつもりだよ。
その思いを込めて。