獣は少女を愛し、少女は獣を愛した
「これを持って、目を閉じていて。」
視覚石をミユに渡す。
「わかった」
ミユが視覚石を持って目を閉じたことを確認して、僕は竜の姿になる。
ミユの目に映る僕の姿が、最初だけでもかっこよく映ればいい。
「ミユ、いいよ」
竜の姿になり、僕は言う。
僕の言葉を聞いて、ミユはゆっくりと目を開いた。
美しく、綺麗で大きな黒目だった。
「グラン...?」
僕のことを眩しそうなものを見る目で見るミユ。
「見える?」
少し気になって僕はそう聞いた。
「えぇ...あなたがグラン?」
ふわりと微笑んでから、ミユはまた僕に聞く。
「そうだよ」
僕の返事を聞いて、目を潤ませるミユ。
「あぁ...、やっとあなたの事が見れた...ずっと、見れないと思ってた...」
ポロリとミユの目から涙が出るのを見た途端、僕は自分の体にこれから起こることを察した。
半獣に...なってしまう。
「ミユ、目を閉じ──」
「え?」