大人の恋をしませんか?
「だってさ、俺と一緒に暮らしてたら本社行っても心細くないし、愚痴だってきいてもらえるし、同じ会社にいるからこその助言だってもらえるんだぞ。頑張れない訳ないだろ?しかもお互い一人暮らし長いから、家事だって分担できるから面倒くささは半分だしさ」

「それは、そう、かも……だけどさ、そんな事で決めるって……結婚ってそんな軽いもんじゃないでしょ?」

「アホか。俺たちの歳で結婚軽く考える訳ないだろうが」

「でもさ、それならせめてしばらく付き合って……」

「時間のムダだな。俺とお前で、今更恋愛して何を分かりあう必要があるんだ。しかもしばらくは遠距離だろ?新たな発見なんてある訳ないぞ」

ダメだ。人事の人間に説得されて敵うわけがないんだ。しかもその人事で認められたエリート君の説得力の高さと来たら……。

「で、でもさ、」

このまま説得させる事への訳の分からない悔しさで何とか口を開いた私は、隣にいる男の表情に二度目のフリーズをくらった。


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