大人の恋をしませんか?
「選り好みし過ぎなんじゃないの?」

軽い皮肉を込めて言えば、爽やかな笑みで返される。

「まさか。惚れた女に惚れて欲しいってだけ。普通だろ?」

「惚れた女ねぇ‥‥」

どんな高嶺の花に惚れてんだか、という言葉はネギマと一緒に咀嚼して飲み込む。どうせ私には関係ない話だ。

「でも会えて良かったよ。今日は松浦と呑みたいと思ってたから」

「呑みたいなら社内メールで連絡くれたら良かったじゃない。寂しい独りものなんだもん、予定くらい合わせるわよ」

全社員がアドレスを持っている社内メールシステムを使えば確実に連絡が取れる。

「んー、でも直前まで時間取れるかわからなかったから」

「トラブル?」

「まあな。昼まで、夜の便で中国飛ぶ予定だったんだ」

「そっか。お疲れ様」
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