大人の恋をしませんか?
「それに今、本社行くなら一生独り身の覚悟決めなきゃでしょ?流石にそこまでの決心はまだ出来ないよ」

「なんだ、それ?」

「だってよ?この歳で研究所行って私の立場で認められようと思ったら、がむしゃらに仕事して、プライベートの充実なんて諦めなきゃ無理に決まってるでしょ」

「そうかぁ?逆にプライベートが充実してこそ、頑張れるってもんだと思うけどなぁ」

納得いかないとビールジョッキを煽る横顔を見ながら、小さくため息が出た。

私だって、そう思う。「リケジョ」で「おひとりさま」。ワードで表すなら流行りの人生だけど、現実に生きていくには楽じゃない。特に私の性格では……。

「ま、確かにお前の性格だとなー。弱いトコ見せるの嫌で、意地っ張りで、甘えられなくて。一人でこっち来て頑張るのは耐えられないかもな」

「……良く分かってるじゃない」

分かりすぎててびっくりするぐらい。
私の頭の中、覗いたのかと思うくらいのタイミングで同じ事考えてるなんて。


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