好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。
Chapter 1*
◇ 最高の親友
「よ」
「よ、じゃないでしょ」
4月6日、21時。
急に呼び出された私が今いる場所は、近所にあるごくごく普通のスーパーのお菓子コーナー。
目の前で一生懸命お菓子を選んでる奴を横目に、私は無意識にため息が出た。
桐原舞 (キリハラ マイ)。それが私の名前。
そしてこの呼び出した張本人というのが、桐谷大志 (キリヤ タイシ) という中学からの腐れ縁だ。
「あんたは何してんの」
「んー?勉強のお供探してんだよ」
「悩んだってどーせ最後に選ぶのはコレでしょ?」
並んであった梅味のポテトチップスの袋を掲げれば、大志はヘラっと笑ってみせる。
…ほんっと、ムカつく。自分が。
「さっすが舞。分かってるなー、俺の好み」
「ていうか大志がワンパターンなだけだと思うけど」
「いやいや、たまに甘いもんも食いたくなるし」
「そーなればチョコビスケットでしょ?」
ポンポンと出てしまうこいつの好み。
呆れてしまうくらいに熟知してるのは、腐れ縁ってだけではなく私がずっと見てきたからだ。
…この、片思い相手を。
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