好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。



さっき加賀さんのことを聞いた時、どこか不機嫌だったから安心した。




「桐原さん。ちょっといい?」

「あ、はーい」


そのタイミングで加賀さんに呼ばれてしまい、私はレジへ向かおうと足を向ける。




が、それよりも先に。



─────パシッ

「舞、」



大志が、私の手を掴んでそれを制した。




「っ、どうしたの?」


まさか掴まれるだなんて思っていなかったから、一瞬心臓が跳ねる。



このバカが思ってる以上に私は大志が好きなんだ。


から、そんな急に触れられたりすると、いちいちドキッとしてしまうからやめてほしい。




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