好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。
そんなことも分からないこいつは、やっぱりデリカシーのない女たらしの大バカで。
「もういい!大志くんのバカ!分からず屋!!」
もう知らない!と、ユカリちゃんは叫んで走って行ってしまった。
帰り際にキッと睨まれたのは気のせいだということにしておこうと思う。
「あーあ。またやったね、大志くん」
「ま、いんじゃない?毎回毎回ヒステリックになられるのもだるいし。別れるわ」
周りがざわざわと騒ぎ立てる中、莉里と大志は冷静にそんな言葉をかわす。
私も私で、特に驚くこともなかった。
だってこんなの、日常茶飯事。
私の存在で大志が彼女と喧嘩することもあれば、大志の存在で私が彼氏と喧嘩することもしょっちゅう。
それでも私の一番は大志だから離れることもないし、大志も私を親友だと思ってくれてるらしいから一緒にいる。
そりゃいつまで経っても発展しないことは事実だけど、奴の中で私が "最高の親友" であることは代わりないから下手に行動もできないというわけだ。
「ほら、教室行こーぜ。B組だろ?」
「あ、待ってよ!」
先に歩いて行ってしまう大志を、莉里とあとを追う。
新学期が、幕を開けた。