好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。
「舞ちゃん」
「…佐山くん」
玄関外で、彼氏である佐山くんが立って待っていたから。
優しい顔なはずなのにどこか悲しそうな表情の彼を見て、「まただ」と思った。
「やっぱり、無理だったね」
「…ごめん」
ただそれしか言えなくて俯く。
大志に先にCATへ行ってもらうように頼んで、私は改めて彼に向き合った。
「桐谷くんでしょ?好きな人って」
「…うん」
「やっぱりかー。舞ちゃん、あの人の前だと明らかに表情違うもんね」
「ごめん」
「いや、いいって。謝らないでよ」
にこりと笑う佐山くんは、一度だけ優しく私の頭を撫でる。
男にだらしない、って言ったって、それなりに罪悪感はある。
ただ彼女が欲しいだけで付き合う人なら何もしないけど、「好き」と告白してくれる人には私は毎回確認を出していた。
「 "好きな人がいるけどそれでもいいか" って言われてそれを飲んだのは俺だから。好きになってもらおうと思ってたけど、やっぱり俺には無理だったみたい」
「……佐山くん」