好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。



ツン、と申し訳なさが募る。



私はずるい。


こうして別れ話をする度にそれを痛感する。




ちゃんと付き合う時は思うんだ。


この人を好きになれたらって。あんな奴忘れて幸せになってやるって。



それでも、少なくとも男遊びに走るという手段を選ぶ程にはあいつが好きなわけで。




「ごめん、舞ちゃん。…俺と、別れてください」

「…はい」



私はそう簡単にあいつのことを忘れることはできない。




***




「で。フリーになったんだ?」

「だから何よ」



あれから佐山くんと別れを告げてCATに行けば、厨房に一番近い窓側の席へ座っていた大志にすぐ別れたことがバレた。


まぁ、あんな雰囲気に居合わせればそんなものすぐに察せれるだろうけど。



その原因があんただなんて、口が裂けても言えるわけがない。



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