好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。
「今から始まるからちゃんと見とけよ?」
「…、うん」
ニカッと笑う大志が生き生きしてて眩しいのに、私の今のフィルター越しではそれが霞んで見えた。
笑顔だって、ちゃんと出来てない。
「舞、どうかした?」
「…っ」
そんな私を、こいつが見逃すわけもなかった。
私の頭を撫でて、顔を覗き込む。
その近い距離にドキドキするのに、ドキドキしてるのは私だけなんじゃないかだなんて余計な考えが押し寄せてしまった。
「ううん、何でもないよ。ほら、早くコート行きなって!」
無駄にヘラっと笑って大志の背中をバシッと叩けば、大志は顔を歪めながらも「勝ってくる」だなんて強気発言をしてコートへと入っていった。