好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。



「凄いよね〜。本当に決勝まで行っちゃうなんて」

「ねー」



私と隣に並ぶ莉里の視線の先。


コートの中では、我がクラスと3年生の決勝試合が行われている。



当然、その中には大志の姿も。




「桐谷くん、頑張ってーっ!」

「きゃー、素敵!」


そして、コートの外野には物好きな大志ファンが大志へ声援を送っていた。




…本当、バカなくせにあいつはカッコよくて困る。


こうしている間にも、どんどん大志を好きになる子が増えているんだろう。




そう思うと、欲張りな私はそれがどうしても耐えられない。


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