好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。
矛盾してるなぁ、なんて考えながら、パンを選んでいる大志を眺める。
『桐谷のやつ、やりやがったよな〜』
そして同時に、やっぱりクラスメイトの会話が頭を過ぎった。
「じゃ、この5つ買うわ」
「はい、637円になります」
トレーをレジに置き、大志がお財布からお金を出してる間に私はパンをそれぞれ袋へ詰める。
ちゃっかりガーリックサンドとチョコあんぱんも入ってるし。
「ねぇ」
「ん?」
「あんたって、賭け事とかする?」
「…っ、は?」
パンの袋詰めで、視線は大志に向くことはない。
面と向かって聞けない私は、平然を装ってなんとなくそう聞いてみた。