好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。



「なんかね、友達がこの前の中間テストで誰がいい点取れるか賭けてたんだって。あんたバカだからそういうことしそうだなーと思って」



…よくもまぁこんな嘘がスラスラと出てくるものだ、と自分でも感心する。


全くもっての作り話なのに、この単純バカは分かりやすい程の反応を示してくれた。




「そんなことやるわけないだろ?大体俺、そんな金に困ってねーし」

「…そっか」


顔を見てないからわからないけど、声からしたら少し普段と様子がおかしい。



それに私は、一言も "お金を賭けた" だなんて言っていなかったのに。




「はい、ちょうど頂戴します。レシートは?」

「あー、一応貰っとく」

「はい、どーぞ」



レシートを渡した時に、やっと私は大志の顔を見た。



< 176 / 280 >

この作品をシェア

pagetop