好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。



「舞と大志くんが同じタイミングでフリーになるなんて、高校入ってから初じゃない?」

「あ、そういえば…そうかも」



私もそのことに言われてから初めて気が付いた。



大志が別れた時には私には彼氏がいて、私が別れた時には大志には彼女がいたから。


お互い彼氏彼女がいる期間はよく被っていたけど、お互いいない期間が被るのは初めてだ。



「似た者同士だな、俺ら」

「…!!もう、急に現れないでよ」



急に背後から聞こえた声に、体がビクリと反応する。


その正体は言わずとも分かるだろう。大志しかいるわけがなくて。



「プッ、お前って意外とビビりだよな。ホラー系とか絶対見ようとしないし」

「う、うるさい!」

「そういう女って、結構男はタイプだよ」

「っ!!」



もう、とりあえず色んな意味でこいつを殴りたかった。



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