好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。




「私のこと、遊びだったんだね」

「違う。俺は本気でお前のことが…」

「嘘つかなくていいよ」



本気で伝えようとしてるのに、舞はもう完全に俺のことを信用していなかった。





舞の涙はずっとそばで見てきた。


何でもすぐ我慢する舞は、俺の前だけでは吐き出してくれたから。



……なのに。




「舞…」

「っ、」



今その涙は、俺のせいで流されている。


拭ってやりたいのに、それができない。




俺は今、大好きな女を傷付けて泣かせているんだ。




< 195 / 280 >

この作品をシェア

pagetop