好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。
***
────でも、それはそう簡単ではなかった。
次の日。
「舞」
「…ごめん、用事あるから」
まず、舞と会話をすること自体が難しい。
朝家に迎えに行ってもすでに登校していたし、校内でこうやって声をかけると避けられる。
手首を掴んで止めようとすれば、泣きそうになって苦しそうに顔を歪めるから無理にそれもできなかった。
自分がこんなにも舞の泣き顔に弱いとは思わなかった。
普段から笑ったり呆れたりした顔しか見てなかったから、そんな顔を向けられるとどうすればいいのか分からなくなってしまう。