好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。
Chapter 5*
◇ 消えた当たり前
* 舞 side **
夏休みが、始まってしまった。
ジリジリと暑い日照りの中、私はアイスが食べたすぎて近所のスーパーへと足を運ぶ。
店内の冷房で涼みながら、ふとお菓子コーナーで足を止めてしまった。
目にとまるのは、梅味のポテトチップスとチョコビスケット。
…あいつの、好きなもの。
いつもならよくここで買い物をして、それでなくてもあいつのためにお菓子を買っていたのに。
今は全くそれがない。やる必要もない。
私の日常生活からあいつの面影が消え始めていることが、今の私には辛すぎた。