好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。



「だって最近来ないもんね、彼氏」

「やっぱり気付いてたんだ…。…先週、別れたんだよね」

「…は?」



そこまで気付かれていたら嘘はつけない。


そう思って素直に別れたことを話せば、松永くんはこれでもかというほど驚いた反応を見せた。




「それ本当に?桐原さんの夢とかじゃなくて?」

「…どんな夢よ」


そして、どうもそのことを信じてない様子の松永くん。



松永くんの中で私はどんなキャラに見えていたんだろうか。




「そういえば、松永くんは彼女と夏祭り行くの?」


これ以上大志のことを聞かれたくなくて、話をそらした。



松永くんには、もう1年半も付き合っている彼女がいる。




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