好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。



「はー食った食った」

「あんたは食べ過ぎ」



結局、食べるのが遅い私に合わせてあれから餃子セットを頼んだ大志。


それでも食べ終わったのは私とほぼ同時で、男子の胃袋を恐ろしく思った。




お店を出てしばらく3人で歩く。


3人とも同じ中学だからか、ある程度まで帰り道は一緒だった。




「じゃ、あたしこっちだから」

「おう」

「莉里気をつけてねー」



途中の別れ道で莉里とバイバイすれば、私は大志と2人きりになる。


その展開は普通ドキドキするはずなのに、私たちの間にはそんな空気は微塵もなかった。




「やっべ、見てこれ。腹パンパン」

「あはは、バーカ」


いつもと同じ、どうでもいい事で笑って歩く帰り道。



どちらかといえば、ある意味こっちの方が居心地がよかったりする。



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