好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。



「ごめんね、急に。驚かせちゃったかな」

「や、あの……。…はい」

「ははっ、正直だね、桐原さん」



告白されたにも関わらず、加賀さんの物腰は全くいつもと変わらない。


これが大人の余裕というやつなんだろうか。



一方の私は、加賀さんに握られた左手が熱くて仕方なかった。




告白なんて、いくらされても慣れないに決まってる。


ドキドキするし、嬉しいし、なんだか恥ずかしいし。




おまけに加賀さんみたいな素敵な人に言われたら、尚のこと困ってしまう。




それでも、どうしても大志の方がドキドキが大きかったなだなんて思ってしまう私は、本当に最低でバカとしか言いようがない。



< 228 / 280 >

この作品をシェア

pagetop