好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。
「あの、ご─────「待って」
ごめんなさい、と、言おうとしたのに。
加賀さんの人差し指が私の唇に触れて、それが遮られてしまった。
「もう少しだけ、俺のこと考えてくれないかな?」
「……へ、」
「桐原さんがあの元彼をまだ忘れられないのは分かってるから。…落ち着いてからでいいから、俺のこと考えて」
お願い、とまで言われたら、どう返したらいいのか分からなくなってしまう。
コクンと頷きそうになったけど、必死でその衝動を抑えた。
「……加賀さん」
スッと、握られた左手を離す。
向かい合って加賀さんの目を見た時、彼は何故か優しく微笑んだ。