好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。
好きだよ、大志。
そう口に出来たらどんなに楽か。
目を見たらそう口にしてしまいそうで、私は下を向いて大志の真横を通り過ぎた。
いや、正確には通り過ぎようとしたんだ。それなのに。
─────パシッ
「舞」
「…っ」
大志が私の手を掴むから、それが出来なくなってしまった。
「舞がなんと言おうと、俺は舞と一緒に行くから」
「…どんだけ自分勝手なのよ」
思わず出てしまった憎まれ口。
本当、自分勝手でバカなんだから。