好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。



「俺が焚きつけちゃったんだよね〜」


そんな私を見ながら、松永くんは唐突にそんなよく分からないことを言い始める。




は?と首をかしげる私に、彼は悪戯に笑ってこう言ったんだ。




「大好きな彼女が違う男に靡いちゃうよって、 言っちゃった」と。




「…はい?」


一瞬…どころでもないくらいにポカンとしてしまうのは仕方ないと思う。



目の前のこの人は、一体何を言っているんだろうか。




「先週かなー。桐原さんの学校行ったんだよね、俺。で、彼に会った」

「えっ!?」

「桐原さんが奪られるよって言いに行ったんだよ。加賀さんの名前は流石に出してないけどね」

「な…っ」



開いた口が塞がらないとは、まさにこのこと。


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