好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。
「来る者拒まず、去る者追わずでしょ」
「…本当お前、変わったよな」
ポツリ、と呟いたその言葉には聞こえないふり。
私だって、こうなりたくてなったわけじゃないんだから。
遊び相手でいいから、あんたの近くにいたかったんだよ。
ただ、それだけなのに。
「あ、もうここでいいよ」
「ん」
家の前まで着けば、大志はいつも通りヘラリと笑って、ついでに私の頭をグリグリと撫でた。
「ちょ…っ、髪ボサボサになっちゃうじゃん!」
「ははっ、舞にはそれが十分だって」
「はぁ!?」
キッと睨んでも、こいつにそんなのが効くわけもない。
私がどんなにお化粧して、髪を決めてお洒落をしても、大志にとっては無駄というわけだ。
「はい、帰った帰った。送ってくれてありがとねー」
珍しくそれがズシンと来てしまった私は、それを悟られない様に奴を軽くあしらう。
「可愛くねぇ」なんて言いながら道を引き返す大志に、「知ってるよ」と小さな声で言い返しておいた。