好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。
『それは中学までの話で。高校に入ってからどんどん可愛くなっていく舞を見て、俺は気が気じゃなかった』
「え?」
『男にモテ始めて、彼氏も出来て。自分でも信じられないくらいに嫉妬してたんだ。…そんな時に、例の賭けの話が上がった』
初めて聞く話に、顔に熱が集中する。
嘘だ、とかそんなことを決めつける余裕なんてなくて、素直に電話越しに聞こえる大志の声に耳を傾けた。
『最初はやる気なんてなかったんだぞ。本気で。なのにターゲットに舞の名前が上がって、居ても立っても居られなくなって。……気付いたら、立候補してた』
「………」
ドキドキと心臓がうるさい。
思ってもみなかった賭けに絡んだ大志の心情に、私の視界は滲んでいた。