好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。
◆ 欲しくてたまらない存在
* 大志 side **
「…で、ちゃっかり取り戻したわけだ?」
「ちゃっかりって…」
次の日の放課後。と言っても日付は変わってないけど。
舞とCATに向かった俺は、例の大学生に会いに行った。
舞は今日はシフトが入ってないけど、そいつは入っているから。
昼間に莉里にバシッと叩かれた背中が、未だにジンジンする。
「だってそうでしょ?俺が舞ちゃんに告白したことに焦って手を打ったんだから」
「まぁ、それは否定出来ないっすけど」
「やってくれたね、彼氏くん…えっと、桐谷くん?」
「名前覚えてなかったんすね」
曖昧に俺の名前を呼ぶ大学生、もとい加賀さんはそう悔しそうに笑う。