好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。



「あ〜。これからも舞はあいつと一緒に仕事すんのか〜…」

「それは仕方ないでしょ?」

「くそー」



CATを出て帰り道を歩きながら、俺はやり切れなくて空を仰ぐ。



こんなことで嫉妬するなんて小さいかもしれないけど、俺にはそれくらいに舞への気持ちが大きかった。




「大丈夫だって」


ギュッ、と。


俺の左手に舞の右手が重なったのは、そんな時。



思わずドキッとして舞の顔を見れば、舞は笑顔を向けてこう言った。



「私はずっと大志しか見てないから」と。




< 267 / 280 >

この作品をシェア

pagetop