好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。



高校デビューだか知らないけど、やめればいいのにと何度思ったことか。



俺に隠していない限り、中学時代に舞に彼氏がいたことはない。


何もかも初めてのくせして、いきなりいろんな男と付き合うもんだから、俺は気が気じゃなかった。



今思えば、それが舞を過剰に意識し始めることになったんだけど。




「どうかした?大志」

「え?」


珍しく変なことを考えていたからか、気づいた時には舞の家まで着いていた。




顔を覗き込んで来るこいつに、また心臓がドクンと波打つ。



…勘弁してくれ。


こんな距離感、中学の頃からの日常だぞ?



今更変えられないこの距離感にいちいち反応してどうすんだ。



恋愛初心者かよ、俺。




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