好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。



恋なんて、それなりにして来たはずなのに。


しかも相手は舞だ。こんなのあり得ない、認めない。



そう思うはずなのに、4年も一緒にいて気付けなかった舞の可愛いところを俺は着実に拾っていた。




「どうもしてねーよ。腹減っただけ」

「ふーん。ならさっさと帰ってその勉強のお供とやらを食べな」

「へいへい」


あくまでも平静を装って、俺はその場を後にするためクルッと背中を向けて歩き出す。




「送ってくれてありがとねー」


背後からそんな舞の声が聞こえたから、後ろ手に右手をヒラヒラと上げておいた。




女のくせに適当だし、たまに凄ぇ口が悪くなる舞だけど。


それでも、家まで送った後に毎回必ず「ありがとう」と言ってくれるその声は、俺の心を「また送ってやるか」と掻き立てるに十分だった。



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