好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。
Chapter 2*
◇ 叶った瞬間
* 舞 side **
「……は?」
いつもの、普通な、日常的な、ごくごく当たり前の帰り道…のはずだった。
強いて言えば、大志が少しだけ口数が少なかったくらいだ。
「今、なんて言った?」
私の耳は、遂にバカになってしまったかもしれない。
ありもしない幻聴が聞こえて来たものだから、私は思わず立ち止まって奴を見た。
真っ直ぐに見つめられ、ドキンと波打つ。
「だから、」と、目の前に立つ大志は再び口を開いた。
「舞が、好きだ」
「…っ!」
一気に顔に熱が集中して息ができない。
心臓の音なんて、ドクン、だけじゃ済まないほどに音を立てていた。