好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。
「おう。どした?」
私に断りもなく速攻で通話を開始する大志は、全くもってデリカシーというか、マナーがなってない。
私の存在がバレないように、毎回どれだけ物音を立てないように注意してるかこの男は絶対知らないだろう。
…そう、今こいつが電話してる相手は正真正銘大志の彼女。
この子は先月から付き合い始めた子だ。
悔しいけどこいつはとにかくモテる。というか女にだらしない。
から、過去の彼女の人数なんて私はもちろん本人もわかっていなかったりする。
隣を歩いて近いはずなのに、いつもすごく遠いんだ。
…ま、私も同類なんだけど。
「ん、今?今は舞と一緒」
「!?」
そんなとき、奴の呑気なセリフに私は思わず耳を疑った。
え、何。バカ?
精一杯の怖い顔で電話中の奴の横顔を見れば、本人はそれに気付きもせず「舞を家に送ってる」だなんて細かい情報まで彼女に伝え始める。