好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。



けど、一応進歩はある。



「登下校は毎日一緒になったよ?」

「付き合う前もほぼ毎日一緒のようなもんだったじゃん」

「…う。確かに」



しかしながら、それは莉里のツッコミによって流されてしまった。



確かに付き合う前も、タイミングが合えば一緒に登校していたし。


今思えばそれも結構な頻度だったような気がする…。




「うりゃっ、何珍しく悩んだ顔してんだよ?」

「ちょ、何よ…っ!」


そのタイミングで、私は誰かさんに後ろから頭を叩かれた。




声だけでわかる。触れ方でわかる。


それは、さっきまで男子達とバカをやっていた大志しかいなくて。




「このバカ大志」

「うるせーよバカ舞」



確かに、私たちの距離感は友達の時となんら変わりがない。



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