好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。



「行くか、デート」


それから、奴はニッと笑いながら私の顔を覗き込んでそう言ったんだ。


まさかの大志からの "デート" という言葉に目を見開く。



「え、本気?」

「何、嫌なわけ?」

「いや…、そんなことはないけど」



寧ろ、あんたと一緒に出かけられるなら私は本望だよ。


なんて、絶対口には出せないけど。




「じゃあいいだろ。よし、決まりな」

「う、うん」


まさかの展開になってしまい、私は内心動揺しまくっていた。



「よかったじゃん」と小声でニヤニヤ笑っていた莉里に、後で一言文句を言ってやろうと思う。



< 59 / 280 >

この作品をシェア

pagetop