好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。



なんでこうもタイミングよく…。



表示された名前は、"佐山くん"



内心面倒に思いながらも、私は仕方なく通話を開始した。




「もしもし?」

『あ、もしもし?舞ちゃん?』

「うん、どうしたの?」



電話越しに聞こえる柔らかい声に少し可愛いなと思う。




横にいる大志がジトッとこっちを見て来るけど、出来るだけ気にしないように会話を続けた。




内容は、別に他愛もないただの雑談。



今何してるの?とか、今日は友達とご飯に行ってきたよ、とか。




なんでこんな時間にこんな電話をしてるのかだなんて、聞くよしもないと思う。





『好きだよ、舞ちゃん』

「うん、ありがと」



私だって大志と同類だから。






─────佐山くんは、2週間前から付き合い始めている私の彼氏である。




< 7 / 280 >

この作品をシェア

pagetop