好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。
なんでこうもタイミングよく…。
表示された名前は、"佐山くん"
内心面倒に思いながらも、私は仕方なく通話を開始した。
「もしもし?」
『あ、もしもし?舞ちゃん?』
「うん、どうしたの?」
電話越しに聞こえる柔らかい声に少し可愛いなと思う。
横にいる大志がジトッとこっちを見て来るけど、出来るだけ気にしないように会話を続けた。
内容は、別に他愛もないただの雑談。
今何してるの?とか、今日は友達とご飯に行ってきたよ、とか。
なんでこんな時間にこんな電話をしてるのかだなんて、聞くよしもないと思う。
『好きだよ、舞ちゃん』
「うん、ありがと」
私だって大志と同類だから。
─────佐山くんは、2週間前から付き合い始めている私の彼氏である。