好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。
私って欲張りだなぁ、なんて思いながら、そう思っている自分の今の状況を嬉しく思う。
私、大志と付き合ってるんだ。
それがすごく現実味を帯びた。
「じゃあ、また明後日な」
「うん。帰ったら電話してね」
「おう」
いつもの会話。いつもの別れ。
だけどなんだか、くすぐったい。
少しぎこちない初デートではあったけど、たくさん笑ってたくさんドキドキした時間だった。
これでいいんだよね。
私達らしく、少しずつ恋人らしくなっていけたらと思う。
「ありがとね、大志」
小さな声でそう告げながら、私は見えなくなるまで大志の背中を見つめていた。