好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。
だから、どうしても言えなかった。
「可愛いねぇ、舞ちゃん。ねぇ、そろそろ僕とのデート許してくれない?」
「…すみません。今仕事中ですので」
1人、面倒なお客さんがいることを。
1週間前くらいから急に現れた、この藤田という男のお客さん。
別に名前を知りたくて知ったわけじゃない。教えたわけでもない。
勝手に名乗ってきて、CATのみんなが私を呼ぶ「舞ちゃん」を聞いて勝手に呼んできているだけだ。
男の人にしては小柄な体型で、見た目的には30後半くらいだと思う。
ただひたすら、ニヤニヤしてこちらに話しかけてくるんだ。