好きって言ってほしいのは、嘘つきな君だった。
「…うん、…うん。うん、じゃあね。おやすみ」
プツ、と電話が切れたのはもう私の家のに着いた頃で。
「んだよ、全然話せてねーじゃん、俺ら」
「仕方ないでしょ。お互い電話来ちゃったんだから」
なんだかんだで大志もつまんなそうにしてくれてるあたり、私に彼氏がいた甲斐があったというものだ。
普通、好きな人がいれば彼氏だなんて別の存在がいることはない。
けど、私の場合はいる。
それも、あえて言葉を借りれば "取っ替え引っ替え" だ。
だって大志が遊び人なんだもん。
そんな人を一途に思って来たってどうにもならない。
中学卒業までは一途な女の子だったけど、高校に入ってからは私も奴と同じキャラへと確立させた。
純粋な一途で3年間ダメだったんであれば、遊び人同士という関係で大志ともっと近い距離に行ける。
そんな歪んだ片想いが私をここまでにさせたんだ。
「んじゃ、また明日なー」
「ん。送ってくれてありがとね」
「おう」
ヒラヒラと手を振って、大志は来た方向を戻っていく。
その後ろ姿を眺めながら、結局呼び出された意味はあったのかと疑問に思っていた。