花歌う、君の空。
プロローグ
暖かな風が、乾いた冬を攫って。
今年もまた、君の居ない街が 春を迎える。
君の大好きなあの花も、蕾を開く頃だね。
眩しいほど鮮やかな その黄色い花弁に目を細めれば、瞼に浮かぶ 今も色褪せることない君との思い出。
暖かなその香りは、まるで君に抱きしめられているみたいだ。
今も、そこに居るように。
だから、
だからね、私は大丈夫だよ。
まだ 泣かないで待って居られる。
君の元へ続く、この空を仰いで。
私は今でも、いつまでも、
君の歌を待っています。