花歌う、君の空。
【菜花 said】
一日中ぼーっと過ごしていたせいか、気づいたらもう放課後だった。
ざわざわと帰路につく生徒の中で、私はなんだか動けずに机に突っ伏していた。
我ながらベタだと思いながらも、両の頬を抓ってみる。
「いったぁ」
鏡を覗き込むと、抓った頬は赤く痕がついていた。それをみてまた確認する。やはり夢じゃない、と。
「あんた、それ今朝から何度目よ」
呆れ顔でそう言った梨奈。今朝の事なんて何でもないようないつも通りの態度だ。
「梨奈だってびっくりしてたでしょ?!」
「最初はね。でも菜花の反応が大袈裟すぎて逆に冷静になったって言うか、でも思ったより背が低いかなぁーって言うか?」
「───なにそれ……」
確かに背は私とほぼ変わらなかったから、男子にしてはあまり高くなかったけど。そんなことは今はどうでもよくて。
『俺、入学式で菜花先輩を見掛けて、それからずっと話してみたくて探してたんです!』
今朝の湊くんのセリフが脳内で何度もフラッシュバックする。
「あれ、どうゆう意味だったんだろ……」
「どう考えても一目惚れでしょ」
無意識でぼそりと呟かれた言葉に、梨奈が間髪入れず答えた。
「ひ、一目惚れ!?」
梨奈の言葉に、思わず素っ頓狂な声を上げた。
「そうでしょ、普通に考えて」
──いやいやいや、何言ってんの梨奈?!
ありえないでしょ。
おさらいしよう。
私はどこにでも居る、平凡なラストJK。一方彼は今や若者なら誰もが知る、有名歌手。
そんな彼が、こんな私に一目惚れ?
ないない。
一日中ぼーっと過ごしていたせいか、気づいたらもう放課後だった。
ざわざわと帰路につく生徒の中で、私はなんだか動けずに机に突っ伏していた。
我ながらベタだと思いながらも、両の頬を抓ってみる。
「いったぁ」
鏡を覗き込むと、抓った頬は赤く痕がついていた。それをみてまた確認する。やはり夢じゃない、と。
「あんた、それ今朝から何度目よ」
呆れ顔でそう言った梨奈。今朝の事なんて何でもないようないつも通りの態度だ。
「梨奈だってびっくりしてたでしょ?!」
「最初はね。でも菜花の反応が大袈裟すぎて逆に冷静になったって言うか、でも思ったより背が低いかなぁーって言うか?」
「───なにそれ……」
確かに背は私とほぼ変わらなかったから、男子にしてはあまり高くなかったけど。そんなことは今はどうでもよくて。
『俺、入学式で菜花先輩を見掛けて、それからずっと話してみたくて探してたんです!』
今朝の湊くんのセリフが脳内で何度もフラッシュバックする。
「あれ、どうゆう意味だったんだろ……」
「どう考えても一目惚れでしょ」
無意識でぼそりと呟かれた言葉に、梨奈が間髪入れず答えた。
「ひ、一目惚れ!?」
梨奈の言葉に、思わず素っ頓狂な声を上げた。
「そうでしょ、普通に考えて」
──いやいやいや、何言ってんの梨奈?!
ありえないでしょ。
おさらいしよう。
私はどこにでも居る、平凡なラストJK。一方彼は今や若者なら誰もが知る、有名歌手。
そんな彼が、こんな私に一目惚れ?
ないない。