花歌う、君の空。
「────え……っ?」
思わずそう声を漏らしたのは、
ぴりり、と電流にも似た衝撃が、全身を駆け巡ったから。
だって、一瞬だけれど。
栗色の大きな瞳が………こっちを見たように思えたから。
目が合ったような……そんな気が。
────気のせい、だよね………?
きっと、ちょっぴり感傷的になっていたから、そんな気がしてしまっただけに違いない。
「菜花…?どうかした?」
「…………ううん、なんでもない」
きっと、気のせい。
そう自分に言い聞かせて再び歩き出そうとするが、
それは、透き通るような淡い声と、こちらに向かって走る足音によって阻まれた。
「菜花先輩………!」