好きだと伝えたくて。
息も絶え絶えになった頃についた場所は七年前まで俺が通っていた高校で。



「律、お前はえーよ」


「湊が遅いだけだろ? つーか、お前今日調子わりぃの?」


「は?」


「だって、お前、俺より断然はえーだろ?」



確かに……。


走るのは律に負けたことがない。


けど、今は明らかに俺の方が遅くて。


しかも俺はこんなに息が乱れているのに、律は平然としている。


何でだ?


けど、俺の中では一つの可能性に辿り着く。


きっと俺は七年前にタイムスリップした。


律の格好もこの町並みもあの頃のものだ。


何故か俺も制服を着ているし。


つっても実際の俺は25歳で。


そんな俺が17歳の律には敵うわけがねぇ。


この状況はそうとしか思えねぇ。


と言っても、信じられない光景だけど。
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