神様、私を消さないで
「ようこそ、永神村へ」


音もなく立ち上がったのは真んなかの席の女子。

黒くて長い髪、まつげも長くてすごくきれいな子だった。

優しい笑顔が好意的に思え、少しだけ気持ちが落ち着いた。


「河原亜弥子です。クラス委員をしています」


そう言った彼女に目を丸くしてしまう。

3人しかいないのに『クラス委員』なんて、冗談かと思ったのだ。

けれど、誰も笑わないので急いで真面目な顔に戻した。


「よろしくお願いします」


ふわっと髪を揺らしてお辞儀をした河原亜弥子が座ると同時に、ガタガタッと大きな音をたてて立ち上がる隣の女子。


「大田雅美です。これからよろしく! 趣味は食べること」


自分で言ってガハハと笑った大田雅美は、丸いフォルムで豪快な性格らしい。

ポニーテールに赤い頬で、田舎の女の子そのものって感じ。

あいまいにうなずく私に、もう一度ニッと笑顔をつくると大田雅美も腰をおろした。
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