神様、私を消さないで
もうひとりいる女子は私から見て左の席。

ショートカットの髪に目が丸くて、すごくスリムな体型。

色白な肌が印象的な彼女は、立ち上がることもなくじっと私を見ているだけ。

さっき手を叩いていなかった子だ。

その目は好意的ではなく、まるでにらまれているみたい。

思わず視線を逸らしてしまった私に気づいてか、「鈴木広代さんです」と、校長先生が代わりに紹介してくれた。

それでもなお、鈴木広代は私から視線をはずさなかった。


少しヘンな子かもしれない……。


ゴクリとつばをのみこんで、それでも頭をさげる私。

たった５人のクラスで、私の中学２年生がはじまった。

始業式だけで授業のない今日は、これで下校になるみたい。


校長先生が出ていったあと、河原亜弥子と大田雅美は待ちきれなかった様子で私に与えられた窓側の席にやってきた。
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